バスコのLIFE GOES ON!

40代でエレキギターを始めた愚か者の雑記帳。映画、音楽等についても申し述べます。

もうタクシー関係なくなってると思うよ TAXi②

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2000年 フランス

あらすじ

 ダニエルはリリーの両親と顔合わせをします。リリーの父親はダニエルが警官と同じくらい苦手な堅物の軍人、ベルティーノ将軍でした。

 一方、エミリアンが勤務するマルセイユ警察では、日本の防衛庁長官がパリでの協定調印前にマルセイユに視察に来ることになり、警備の準備に余念がありません。

 防衛庁長官の空港での出迎えに遅れそうになってしまったベルティーノ将軍はダニエルの爆走タクシーで空港まで運んでもらいます。

 空港で行われた防衛庁長官の歓迎セレモニーでマルセイユ警察が特注したVIP用車両がお披露目され、その運転手は将軍の推薦でダニエルが務めることになります。

 空港を出発する一行を遠くから監視する集団がありました。彼らは日本のヤクザです。

 道中、防衛庁長官の乗った車両は突然襲われますが、実は警察署長が企てたヤラセでした。

 次のヤラセポイントで待機していたエミリアン達のチームが、ヤクザの手下に襲われます。

 最初は予定どおりのヤラセだとたかを括っていた署長でしたが、そこで防衛庁長官を襲ったのは、入れ替わった本物の誘拐犯で、あっという間に防衛庁長官をさらわれてしまいます。

 ダニエルが現場の痕跡から犯人達のアジトは港の倉庫だと推理し、警察隊が乗り込みますが、すでにもぬけの殻でした。

 ダニエルは何故防衛庁長官マルセイユで誘拐したのかという疑問から、その目的がパリでの協定調印妨害であることを突き止めます。

 しかし、パリの調印式まで時間がありません。ダニエルは将軍に依頼し、彼のタクシーを輸送機でパリまで運んでもらいます。そしてパリの上空で、ダニエル達が乗ったタクシーは大空に飛び立ちます。

感想・コメント

 TAXIの続編です。

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 登場人物も設定も前回と同じです。前作よりもお笑い路線に振られています。最初に山道を全力で疾走するラリーカーを産気づいた妊婦を乗せたダニエルのタクシーが煽りまくって抜き去っていくというシーンから笑えます。そして、マルセイユ警察のダメっぷりも磨きがかかっていて、勤務中に皆んなビールを飲むようになっています。

 今回の悪党は日本のヤクザで黒のランエボを乗り回していますが、何故か千葉ナンバーというところも小さな見どころです。

 ランエボVI(だと思います)のことを、ダニエルが「三菱の車だけど車種はわからない」と言っている辺りが、車オタクらしくないダニエルのキャラに合っていて良かったです。カーアクションがテーマの作品なんですが、ワイルドスピードみたいにのめり込みすぎていない(というか、何故か翼をつけるなど改造の方向性が謎)ところがお気に入りです。肩の力を抜いて観るくらいがちょうどいい作品です。

 

 最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

 

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ワイルド・スピード感ゼロの公道爆走もの TAXi

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1998年 フランス

あらすじ

 ピザ屋の配達員をしながら6年も待った末に念願のタクシー免許を取得するダニエル。

 一方、車を運転する才能が1ミリもなく、路上試験に落ち続ける刑事のエミリアン。仕事でもヘマ続きで、恋心を寄せている同僚のペトラには見向きすらされません。

 お互いを知らぬ2人が暮らすマルセイユの街にドイツから強盗団がやってきて犯行予告をします。警察は銀行で張り込みをしますが、エミリアンのヘマでまんまと強盗団を逃してしまいます。

 エミリアンを客として乗せたダニエルは、エミリアンの職業を知らずに得意のドライビングテクニックで街を爆走してしまい、免許を盾に強盗団の捜査に協力するよう強いられます。

 強盗団が犯行に用いていた赤いベンツの写真を見て、ダニエルは街に1件しかないベンツを修理できる工場に一味が現れるはずだと推理をします。推理は見事に的中しますが、またしてもエミリアンのヘマで逃してしまいます。

 名誉挽回の一策としてエミリアンはベンツに追跡装置を取り付ける作戦を提案します。次の犯行現場で守備よく追跡に成功しますが、途中で一味の赤いベンツを見失ってしまいます。

 ダニエルは一味がベンツを急速乾燥する特殊な塗料で赤から別の色に塗装していると推理します。そして、知り合いの塗料屋に問い合わせ、最近大量にその塗料を購入した客がいると言う情報をつかみます。

 ダニエルは次の犯行で強盗団を捕らえる作戦をエミリアンに提案します。それは、ダニエルが犯行を終えて逃走する途中の強盗団を挑発して路上レースに誘い、とある場所に誘導するというものでした。そして交差点の信号をタイミングよく切り替えるために、ダニエルの仲間のピザ配達人達が集められます。果たして作戦はうまく行くでしょうか。

 

感想・コメント

 人気シリーズの1作目です。

 マルセイユの明るい日差しの降り注ぐ中で繰り広げられるカーチェイスは息を飲むというよりも、どこまでも楽天的で牧歌的です。

 「リュック・ベンソンがスピードの限界に挑む!!」というキャッチコピーですが、看板に偽りありです。監督どころか、登場人物が誰一人として限界に挑んでいません(笑)。

 この映画には「怒り」という感情もありません。ヘマをするエミリアンを怒鳴るジベール署長(この人はいちいち作戦名をつけるのが好き)も、どこか間抜けで凄みがありません。

 間抜けな警察をサポートする陽気で自由奔放なダニエルの機知と人並外れたドライビングテクニックが観ていて楽しいエンターテイメント作品の傑作です。

 

 最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

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彼だけが、それが自殺行為だと思わなかった。 into the Wild(イントゥ・ザ・ワイルド)

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2007年 アメリ

 

(注)ネタバレを含みます。

あらすじ

 クリスは名門エモリ大学を優秀な成績で卒業し、ハーバードのロースクールに行けるだけの頭脳を持つ秀才です。

 両親はクリスに期待を寄せますが、クリスそして妹のカリーンは両親を敬愛できませんでした。

 何故なら2人が小さい頃から夫婦喧嘩が絶えなかったことに加え、父と母の不倫の結果できた子供だったのに、それを隠すために過去を偽っていたからです。

 NASAのエンジニアだった父は独立してコンサルタント会社を設立し成功しましたが、クリスには両親が物質主義と拝金主義に汚れた存在にしか思えませんでした。

 卒業後のことを両親に尋ねられたクリスは言葉を濁しますが、全財産を慈善団体に寄付すると、一言も告げずに大学時代に住んでいたアパートを引き払い行方をくらまします。両親がクリスの異変に気づいたのは、数ヶ月経ってからでした。

 

 クリスは中古の車を走らせます。

 今までの自分を捨て去るかのように、「アレクザンダー・スーパートランプ」という偽名を名乗ります。やがて車が壊れてしまい、移動手段はヒッチハイクになりました。

 道中、クリスはヒッピーのカップルや農場経営者、独り暮らしの老人等と知り合い交流を深めます。

 

 クリスには目的地がありました。アラスカの荒野です。金や欲に汚れた社会から離れ、ただ自然の中で自給自足の日々を送りたい、それが夢でした。

 出会った人々から別れを惜しまれながら、クリスはアラスカの大地に立ちます。そして、荒野をひたすら進むと、打ち捨てられたバスを見つけます。バスのエンジンルームは空でしたが、中を覗くとストーブやマットレス等が残されていました。クリスは「不思議なバス」と名付け、そこを生活の拠点とすることにしました。

 冬の間は獲物を捕らえることもできず空腹に悩まされましたが、雪解けと共にクリスの荒野での生活は軌道に乗り始め、獲物をとり、好きな読書に耽る日々を過ごします。9週間が経った頃、クリスはトルストイの本を読み、本当の幸せは人とのつながりの中で芽生えるものだと思うようになり、街に戻ることにします。

 

 しかし来たときは小さかったはずの川が、雪解けで増水していて渡ることができなくなっていました。帰路を絶たれたクリスは止むを得ず不思議なバスに戻ります。

 それからクリスは孤独と恐怖から精神に変調を来し始めます。そして本を見ながら慎重に選んでいたはずの植物を食べたところ、酷い体調不良に見舞われます。本のページを誤って、食べてはいけない植物を食べてしまったのです。その植物には毒性があり治療しないと飢餓で死亡するという記事にクリスは絶望します。

 不思議なバスでの生活が100日間続いた頃、クリスは限界まで衰弱していました。

 最期を悟ったクリスは、バスの中で横たわり、空を見つめます。

 そして、家に戻り両親と抱き合う自分を想像しながら絶命するのでした。

感想・コメント

 クリスは環境保護を訴える活動家ではありません。

 金や物は要らないと言いながら、それは「過剰には要らない」という意味で、(本人はそのつもりかも知れませんが)アーミッシュの様に文明社会を真っ向から否定しているわけではありません。

 クリスはアラスカの荒野に行けば「真実」を見出すことができるはずだと思い込むようになります。クリスが「真実」を求めるきっかけとなったのは両親に対する嫌悪感でした。その嫌悪感が両親が良しとする価値観の否定、すなわち自分が育ってきた環境の否定につながったのです。

 皮肉なのはクリスが両親を「赦す」べきだと悟ったときに、自然の無情によって元の世界に戻る術を失ってしまったことでした。

 才能と知性に恵まれた有能なこの若者が社会に戻ることができたとしたら、どのような人生を歩んだのか、想像せずにはいられません。

 

 最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

ただ、無差別に虐殺されるのを待つしかない絶望 ルワンダの涙

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2005年 イギリス、ドイツ

 

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 ルワンダ1994年4月5日から11日の間に起きた実話とのことです。

 フツ族政府は30年間少数民族ツチ族を迫害していましたが、西欧諸国の圧力でフツ族は渋々ツチ族と権力を分け合うことに合意しました。国連は首都キガリに少数の平和監視のための軍を派遣していました。そういう状況下にありました。

 

 首都キガリにある技術学校では、国連軍の護衛の元、老年の神父のクリストファーと最近来たばかりのジョーが地元の子供達の教育にあたっていました。

 フツ族の役人がツチ族の所在を調査するなど不穏な動きは見え隠れするものの、町は一応平穏でした。

 ジョーは走るのが得意な女生徒マリーを特に目にかけていて、将来その才能を開花させたいと思っていました。

 状況は、ある日突然暗転します。大統領機が撃墜されたのです。フツ族政府筋はツチ族による暗殺だと断定し、フツ族民兵達がナタでツチ族を襲い始めます。フツ族ツチ族のことを「ゴキブリ」と呼び、何の躊躇いもなく次々と惨殺するのです。

 国連軍がいる学校へ救いを求めて、多くのツチ族系住民が押し寄せて来ます。国連軍の責任者デロン大尉は、本部から学校を避難所としないよう命令を受けていると拒もうとしますが、クリストファーの強い申し入れで、渋々受け入れることにします。やがてジョーが可愛がっていたマリーも難を逃れて学校へやって来ました。

 やがて学校をフツ族民兵達が包囲し、国連軍との睨み合いが始まります。

 事態の打開のためにジョーは危険を承知で、知り合いのBBCの記者レイチェルにニュースにして欲しいと頼みにいきます。レイチェルは最初は関心を示さなかったものの、避難民の中に欧米人も含まれていると聞き、学校へ向かうことにします。帰路でフツ族民兵に止められたジョーは記者共々銃で突きつけられ、さらにその傍らではツチ族の男性がナタで執拗に叩き切られて絶命するのを目の当たりにします。民兵の中にたまたまフツ族の学校職員がいたことから、ジョー達は見逃してもらい、命からがら学校へ戻ります。

 記者からなぜ避難民の救助のために武力行使しないのか追及された大尉は、いくら馬鹿みたいに思われても、本部の命令に従うしかないのだと憤慨します。彼自身も現状に憤りを感じていたのです。

 夜。レイチェルになぜルワンダに来たのか尋ねられたジョーは、子供の頃恵まれていたから恩返しをしたいと思ったからだ、しかし何もできない自分が不甲斐ないと自分を責めます。それに対してレイチェルは、自分も去年ボスニアで取材していたときは死体を見ると自分の母を連想して毎日泣いていたのに、ここではただのアフリカ人の死体としか思えないので涙が出ない、結局私たちは自分勝手なのだと打ち明けます。

 次の日、フランス軍がやって来ます。皆期待を膨らませますが、トラックは2台だけで欧米人しか乗せないと言います。レイチェルはその車で避難することにしますが、ジョーは残ることにします。

 その後も学校を包囲する民兵と国連軍が対峙が続き、クリストファーもジョーも精神的に困憊します。

 事態はさらに深刻化し、大尉が本部から国連軍を空港まで撤退させるよう命令があったと告げに来ます。国連軍がいなくなるということは、学校にいる避難民は皆殺しにされるということです。

 ジョーはマリーの視線に良心の呵責を覚えながらも国連軍と共に撤退することにします。

 クリストファーは避難民と共に残ることにします。

 マリーの父親は大尉に、避難民の総意として、家族として死にたいから全員国連軍に銃殺して欲しいと懇願しますが聞き入れてもらえません。

 国連軍が去った後、外で待ち構えていた民兵達が「作業開始だ」という掛け声と共に学校へ突入します……。

 

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 ルワンダにおける民族対立が招いた大量虐殺を描いた作品で、実話を元にしているそうです。

ja.wikipedia.org

 クリストファー、ジョー、国連軍のデロン大尉は立場は違えども、まさにジェノサイドが実行されんとする現場にいながら、それを阻止できないことに苛立ちます。クリストファーはツチ族避難民を救出するために武力行使をすべきだと主張しますが、大尉は本部からの命令に背くことはできないとこれを拒絶します。

 いかなる理由があっても殺人は、ましてや集団虐殺など許される行為ではありません。1994年4月から7月までの4ヶ月で80万人のルワンダ人が虐殺されたのに、それを「集団虐殺」と断言しなかった国際社会も如何なものかと思います。

 しかしルワンダ内紛の責任はどちらにあるのかという問題はそんなに簡単なものではないように思います。90年代だけを切り取ってみれば、ツチ族フツ族に迫害された被害者といえるので、フツ族を責めることに一見正当性があるように思えます。しかし、もう少し時間軸を広げて植民地時代まで遡れば、フツ族ツチ族から迫害されていたからです。

 この映画を見てフツ族が加害者、ツチ族が被害者と安易に決めつけるのは少々早計だと思います。往々にして歴史的背景がある問題に明快な正解はないものです(もっとも、この問題の諸悪の根元は植民地支配ですが)。

 そうそう。途中で地元民を置いて脱出するジョーを、傍観者が卑怯とか偽善者と責めてはいけません。ジョーは生涯そのことへの悔恨に苦しめられるのです。

 同じテーマの作品としてホテル・ルワンダがありますが、こちらの方が生々しく臨場感があります。多くのルワンダ内紛の被害者がスタッフとして参加していたことも、それに寄与しているのでしょう。

 

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

隣人がナタを振りかざして追いかけてくる日常(実話) ホテル・ルワンダ

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2004年 イギリス・イタリア・南アフリカ

 

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 ポール・ルセサバギナはルワンダの首都キガリにある高級ホテル「ミルコリンズ」の副支配人です。ホテルの従業員を統率する傍ら、欧米の有力者や政府軍将軍へ賄賂を贈り人脈を築くやり手です。

 当時ルワンダでは、フツ族率いる政府軍とツチ系のルワンダ愛国戦線との間で武力衝突が起きており、その中でフツ族過激派(フツ・パワー)によるツチ族排斥の機運も高まっていました。

 政情不安の情勢下でもミルコリンズは国連の平和維持軍の保護の下、欧米からの観光客で賑わっていました。

 大統領とルワンダ愛国戦線のリーダーとの和平協定締結により、武力衝突は終結することになりそうでしたが、その直後大統領が乗った飛行機が墜落してしまいます。フツ・パワーはこれをツチ族による暗殺であると断定し、ツチ族排斥を宣言します。

 そして街ではツチ族が容赦無く殺害され始めます。ポール自身はフツ族でしたが、妻のタチアナはツチ族でした。そのため妻と子供の身を案じたポールは自分の家族とタチアナを頼ってやって来たツチ族の隣人をミルコリンズに避難させます。

 何日もたたないうちにミルコリンズは宿泊客と避難してきた地元住民で溢れます。ポールはルワンダの惨状を知った欧米各国が救いに来てくれるだろうと楽観的に考えていました。しかしポールの予想に反して、欧米各国は自国民を国外脱出させること以外の行動を取ろうとしませんでした。

 ホテルに取り残されたポールとホテル従業員、そして避難してきた地元住民は、自力でこの状況を乗り切るしかありません。ポールは皆に外国の知人に電話をかけ、お別れの挨拶をするよう呼びかけます。それはルワンダの知人を見殺しにすることへの罪悪感を抱かせ、何とか救援しなければならないという運動に発展させるための作戦でした。

 状況は悪化するばかりです。来るかも分からなない救援を待ちつつ、ポールはそれまで築き上げた人脈と賄賂を使って何とか危機を逃れます。

 じきにポールの作戦の効果が現れます。ホテルにいたうちの何人かは国外の知人の援助により外国へ脱出できることになり、ポールの一家もそのリストに載っていました。ポールはホテルに残された人々を見殺しにはできないと自分だけ残り家族を見送りますが、タチアナ達が乗った移送用のトラックはフツ・パワーに攻撃され、ミルコリンズに引き返すしかありませんでした。

 孤立無縁の状態でホテルに残された食料も水も底をつき、ポール達は絶望するしかありません。さて、その運命は。

 

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 ルワンダにおける民族対立が招いた大量虐殺を描いた作品で、実話を元にしているそうです。

ja.wikipedia.org

 ツチ族フツ族の違いですが、地元民も外見からははっきりと見分けることができず、身分証に押された「フツ」、「ツチ」のスタンプで判別しています。民族や文化由来ではなく、ベルギーによる植民地支配下で政策的都合で設けられた区別とのことです。

 植民地時代に差別的政策があったとはいえ、同じ自国民でルーツも同じ民族が殺し合うというのは恐ろしい話です。

 ポールが仕入れのために霧の中車で移動している途中、急に道を外れたかのように車が揺れ出します。車を停めて降りると、そこには無数の虐殺の犠牲者の遺体が道の向こうまで横たわっているシーンがあります。差別に対する恨みの根深さとは人間をそこまで駆り立てるのかと考えさせられます。

 尊厳を傷つける差別に集団心理が加わると大惨劇の引き金になりかねないということを、改めて考えさせられました。

 蛇足。個人的には、情動的な妻のタチアナは少し苦手でした。超危険な地域に住んでいる自分の兄の一家を救って来て欲しいと、赤十字の職員に頼み込んだりするし。

 

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

ブラピになる方法が分かりました。 ファイト・クラブ

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 1997年 アメリ

 

(注)ネタバレを含みます。

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 男(名前は最後まで語られない)は、自動車会社の社員として働いています。高級マンションに住み家具はこだわりの北欧家具が並んでいます。男は不眠で悩んでいました。しかし医師は薬を処方してくれず、辛くて我慢できないという男に、睾丸がん患者サポート会に行ってみれば本当の辛さの意味が分かると立ち去ってしまいます。

 意味も分からないまま、男は石の言葉に従いサポート会に行きます。そこで他の参加者と抱き合って泣き叫んでみると、解放感からかよく眠れるようになります。それが癖になった男はいろいろな病気の患者の会に参加するようになります。ある日、いろいろな患者の会に女が現れるようになります。その女に自分の正体を見透かされているように感じた男は感情移入できなくなり、再び不眠症になってしまいます。

 ある日、男は出張から戻る機中でタイラー・ダーデンという男と隣り合わせになります。タイラーはみんな物欲主義に洗脳されている、全てを捨ててどん底に落ちてこそ初めて生を実感できるという変わった主義に持ち主でした。自分とは正反対の性格のタイラーを気に入った男は連絡先を交わします。

 男が出張から帰宅すると自分の部屋が燃えていました。突然戻る場所を失った男は、ついさっき出会ったばかりのタイラーに助けを求め、彼の住処に転がり込むことにします。そこは、すでに取り壊しが決まった廃屋でした。水も止められ、電力も不十分な薄汚い廃屋でのタイラーと男の奇妙な2人暮らしが始まります。

 2人は平日はそれぞれ働き、週末はバーの裏で殴り合いをするのが日課になりました。なぜ殴り合うのか?タイラーによれば、そうすることで社会の呪縛から逃れ”生”を実感できるからです。徐々に見物人が増えていき参加を志願する者が現れるようになります。やがて殴り合いは”ファイトクラブ”と名付けられ、バーの地下で夜な夜な開催されるようになりました。タイラーはそのリーダーとしてクラブを仕切ります。タイラーの大胆で豪快な性格、そしてカリスマ性に魅了された男の価値観や道徳観は日に日に変化していきます。

 クラブの規模が大きくなると、次にタイラーはその中から選抜したメンバーを「スペースモンキーズ」として組織化し、メイヘム(騒乱)計画を企て始めます。男が尋ねてもタイラーや「スペースモンキーズ」のメンバー達はルールだと言って計画について口を開こうとしません。自分に相談もなくことを進め始めたタイラーに男は苛立ちを感じます。

 ある日、タイラーが姿を消しました。男はタイラーの残した航空券から彼の足取りを追います。男は行き先々でファイトクラブ支部の存在を感じます。しかし肝心なタイラーとは行き違いで会うことができません。そんなとき訪れたある支部のメンバーから「あなたがタイラー・ダーデンだ」と男は告げられます。

 そうです。男が無意識に抱いてた理想像がタイラー・ダーデンであり、男が寝ている(と思っている)間、男はタイラー・ダーデンとして活躍していたのです。そのタイラーが企てていたメイヘム計画とは金融機関のビルを同時に爆破し、人々の借金を全て帳消しにするというものだということを男は知ります。自覚はないとはいえ、自分が大掛かりな犯罪計画を指揮していることに気付いた男は必死で計画を阻止しようとします。しかし計画の実行準備は、男が予想するよりずっと大規模な組織に成長していた「スペースモンキーズ」によって着々と進められています。さて男はもう一人の自分~タイラー~が企てた犯罪計画を阻止することができるでしょうか。

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 解離性障害の男の話です。解離性障害の場合、どちらが本当の人格と言うのか私には専門的なことは分かりませんが、この話では強いストレスを感じた男に、潜在的な理想像であるタイラーという、いわば”副人格”が芽生えたという設定になっています。副人格が冴えない感じだったら良かったのでしょうが、残念ながら男の副人格は優れたカリスマ性と実行力を持ち合わせていたがために大ごとになってしまいました。

 原作の出来がいいせいか(読んでいませんが)、ストーリーはなかなか面白いですが、特に最初の方は、メメントぽく細切れに時間軸を遡る展開になるので、事情が飲み込みづらく劇場で観ると特に頭を使わされるパターンです。

 ブラッド・ピットがひたすらかっこいい映画ですね。私は主人公のエドワード・ノートンもいいと思いますが、やはりブラピには”華”があります。

 余談ですが、この映画にはサブリミナルが使われています。最後に肌色一色のシーンが一瞬挿入されているのですが、コマで見ると「あっ」でした。まあ少し狙い過ぎですね。

 

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 最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

頑張って生きてきたけど、振り返ってみたら足踏みしていただけ。それが人生? T2トレインスポッティング

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2017年 イギリス

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 レントンが、仲間とともにヤクを売り捌いて手に入れた大金を独り持ち去って行方をくらませてから20年後の話です。

 ダニー(スパッツ)は一時は更生し家族も持ちますが、再びヘロインに手を出し全てを失いました。(彼によれば、サマータイムになったことに気づかなかった結果、あらゆる約束に1時間遅刻したことが原因)

 サイモンは流行らないパブを経営する傍ら、ブルガリア人のベロニカと組んで美人局をして小金を稼いでいました。

 そして凶暴で危険な男ベグビーは受刑中の刑務所から脱獄します。

 そこへ母の訃報でアムステルダムからレントンが帰国したことから、4人の時間が20年ぶりに動き出します。

 ダニー、サイモンそしてベグビーは金を持ち逃げしたレントンを恨んでいました。

 ダニーはままならない人生に絶望し自宅で窒息自殺を図りますが、ちょうどやってきたレントンに阻止されます。ダニーはレントンに悪態をつくものの、すぐに昔の友情が蘇ります。

 ダニーの勧めでレントンはサイモンに会うためパブに行きます。しかしレントンアムステルダムでの成功話を聞いてサイモンの怒りが爆発します。レントンと組んだフリをして、ベロニカと一緒に始めようとしていたサウナ(風俗店)の開業資金を稼ぎ、レントンを裏切ろうと企てます。

 サイモンが持ちかけた儲け話に最初は乗り気でなかったレントンですが、実は離婚とリストラで人生の希望を失っていたのでサイモンに力を貸すことにします。

 2人は昔のようにつるんで窃盗をし、大金を手にします。そして昔話に花を咲かせ、若き日のように盛り上がります。

 そしてトラブルに見舞われながらもサウナ開業のためのパブの改装工事も始まります。

 そんな中、レントンはベグビーとクラブで鉢合わせします。キレたベグビーはレントンを追い回します。なんとか難を逃れたレントンですが、ベグビーはダニーとベロニカを脅し、ベロニカから奪った携帯電話からメッセージを送って、レントンとサイモンを改装中のパブに呼び出します。

 ダニーが2人に警告するためパブにやってきますが、ときすでに遅し。その背後からベグビーが現れます。追い詰められるレントン。果たして運命は。

 

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 4人とも20年間にそれぞれの人生を歩んだものの、気づけばほとんど前に進んでおらず、ずっと同じ場所で足踏みしているだけでした。昔と違うのは、すでに人生の終盤に差し掛かっていて、そこから抜け出す時間も力も残されていないという事実です。そして、あのときヘロインにハマらなければ、もっとまともな人生を送ることができたはずなのにと悔やみながら、またヘロインをやって、残りの人生も無駄にしてしまう。ヘロインではないにしても、誰しもが多かれ少なかれ同じような思考パターンに陥りがちです。

 短いようで長い人生、残されていないようで意外と残されている時間。過ぎたことを悔やまずに、今からでも、今更でも、取り組んでみることが大切なのでしょうね。

 私はそのようなことを考えましたが、この作品は別にそういった主張を表現したものではありません。第1作と同じく、スコットランドのヘロインジャンキー達の日常を描いた、ポップな雰囲気のコメディーです。観賞前に第1作を観ておかないと楽しめませんので、是非そちらからご覧ください。

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最後までお付き合いいただきありがとうございました。