2017年 アメリカ
荒野に独りで暮らす矍鑠(かくしゃく)とした老年の男性ラッキー。
毎朝起きると、運動して、牛乳を飲み、歩いて食堂まで行ってコーヒーを飲みながら店主達とおしゃべり。帰り道に雑貨店で牛乳を調達して、お気に入りのテレビ番組を観る、そんな規則正しい生活を送っていました。
ある日ラッキーは突然自宅で倒れます。病院で診察してもらいますが、医師はどこも異常はない、奇跡のような健康体だと診断します。ラッキーは納得できませんでしたが、医師の「誰でも歳とともに衰えるものだ」という言葉で、(傍目には十分年寄りなのですが)初めて自分が老いていることを自覚し、永遠に続くと思っていた今の生活をいずれ終える日がやってくることを悟ります。
死という運命に、ラッキーはどのように向き合うのでしょうか。
パリ、テキサスの主演、その他エイリアン等100本以上の映画に出演した(Wiki)ハリー・ディーン・スタントンの最後の作品です。
ラッキーは生涯独身で家族もいませんが、寂しくないのかと尋ねられると「孤独と一人は同じじゃない」とはっきりと反論します。ラッキーの日常は本人にとってとても居心地が良いものだったので、それは強がりではなく本心だったと思います。
そんなラッキーの自立心を尊重しながら、さり気なく支えてくれる町の人々に囲まれるラッキーの人生を羨ましく感じました。
人はいずれ必ず死ぬ。言うまでもない真理ですが、それを受け入れるのはとても難しい、そんなことを考えさせられる作品です。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
ハリー・ディーン・スタントン主演作品は、こちらでも紹介しています。